神戸地方裁判所 平成5年(行ウ)25号 判決 1995年10月30日
原告
大村和志
外五名
右原告ら訴訟代理人弁護士
金子武嗣
同
秋田真志
同
山田康子
同
野仲厚治
同
青木佳史
同
峯本耕治
被告
貝原俊民
外三名
右被告ら訴訟代理人弁護士
岸本昌己
主文
一 原告らの被告清水良次及び被告芦田弘逸に対する訴えをいずれも却下する。
二 原告らのその余の被告らに対する請求をいずれも棄却する。
三 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実
第一 請求
被告らは、兵庫県に対し、連帯して金一三〇三万八〇〇〇円及びこれに対する平成五年一一月五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二 事案の概要
一 本件は、兵庫県立神戸高塚高等学校(以下「高塚高校」という。)において発生したいわゆる高塚高校校門生徒死亡事故に関連して、兵庫県(以下「県」という。)知事、県教育長若しくは高塚高校長の地位にあった被告らが、右事故のあった校門の門扉及び門塀部分を撤去して新しい校門の門扉等を設置する工事を行うことを決定して訴外上田建設工業株式会社(以下「訴外上田建設」という。)との間で同工事の請負契約を締結し、その請負代金として県の公金を支出させたことが違法無効であると主張して、県の住民である原告らが、県に代位して、被告らに対して、撤去された門扉相当額及び県が支出した右請負代金額相当の損害賠償を求めた住民訴訟である。
二 争いのない事実
1(一) 後記本件校門模様替え工事を行うことが決定された平成二年九月当時、被告貝原俊民(以下「被告貝原」という。)は県知事、被告清水良次(以下「被告清水」という。)は県教育長、訴外衣川清馬(以下「訴外衣川」という。)は高塚高校長のそれぞれの地位にあった。
(二) 後記本件校門改修工事の請負契約が締結された平成五年七月当時、被告貝原は県知事、被告芦田弘逸(以下「被告芦田」という。)は県教育長、被告山口節夫(以下「被告山口」という。)は高塚高校長のそれぞれの地位にあった。
2 平成二年七月六日朝、高塚高校の生徒通用門(以下「本件校門」という。)において、当時、遅刻者を厳しく指導する措置を取っていた同校の生徒指導方針に従って校門指導をしていた同校教諭が安全を確認しないまま右門を閉めようとしたため、同門を通ろうとしていた同校一年七組の女子生徒一名が頭を同門の鉄製扉とコンクリート製門柱の間に挟まれて死亡する事故(以下「本件校門事故」という。)が発生した。
3 本件校門の門扉は、昭和五九年三月に設置されたもので、耐用年数は三〇年であり、後記本件校門模様替え工事及び同改修工事当時、ほとんど老朽化もしておらず、安全性、機能性の面でも問題はなかった。
本件校門の台帳価格は、門扉、門塀及びその周辺のスロープ、花壇等を含む一個の工作物(通用門一式)として六三四万三〇〇〇円であった。
4(一) 訴外衣川は、高塚高校長として、訴外中田工務店(以下「訴外工務店」という。)との間で、平成二年九月二九日、次の内容の本件校門模様替え工事の請負契約(以下「校門模様替え工事当初契約」という。)を締結した。
工事区域 ①門扉及び門塀部分の区域
②門扉及び門塀部分を除く通用門模様替え工事区域
③周辺整備工事区域
請負代金額 二一四二万四〇〇〇円
(内訳) 通用門模様替え工事
一四四五万〇九〇〇円
周辺工事
六九七万三一〇〇円
工期 着工 平成二年九月三〇日
完成 同年一二月二八日
(二) 訴外衣川は、訴外工務店との間で、平成二年一二月五日、校門模様替え工事当初契約の内容のうち、工期の完成を平成三年二月六日と変更する旨の工事請負契約(以下「校門模様替え工事変更契約」という。)を締結した。
(三) 訴外衣川は、訴外工務店との間で、平成三年二月二日、校門模様替え工事変更契約のうち本件校門の門扉及び門塀部分の区域を除いた工事を実施し、それに伴い請負代金額を四三四万六六〇〇円減額する(うち、通用門模様替え工事四四二万九〇〇〇円減額、周辺整備工事八万二四〇〇円増額)旨の工事請負契約(以下「校門模様替え工事契約」という。)を締結した。
(四) 訴外工務店は、右契約に従って、門扉及び門塀部分を除く通用門模様替え工事及び周辺整備工事(以下「本件校門模様替え工事」という。)を施工し、平成三年三月二六日、訴外衣川が支出命令を出し、右命令に基づいて、同月二八日、右工務店に対して請負代金一七〇七万七四〇〇円が支払われた。
5 被告山口は、高塚高校長として、平成五年七月二二日、訴外上田建設との間で、次の内容の本件校門撤去・模様替え工事請負契約(以下「本件契約」という。)を締結した。
工事概要 通用門工事、門扉(両引き分扉)
既存の門塀、花壇(コンクリート造)を一部はつり撤去及び全面はつり撤去し、アプローチ等模様替えをする。
(1) 新規に花壇を設ける。
(2) 門柱を設置し、門扉を取替える。
(3) 床をタイル貼りとする。
請負代金額 六六九万五〇〇〇円
工期 着工 平成五年七月二三日
完成 同年九月五日
6 訴外上田建設は、本件契約に従って、本件校門改修工事(以下「本件校門改修工事」という。)を施工し、平成五年七月三〇日ころ、本件校門の門扉を撤去し、同年九月五日ころ、新しい校門(以下「新校門」という。)を完成させた。
被告山口は、同月二四日、支出命令を出し、右命令に基づいて、同月三〇日、訴外上田建設に対して請負代金六六九万五〇〇〇円が支払われた(以下「本件公金支出」という。)
7 原告らは、県の住民であるが、そのうち五名は平成五年七月一五日に、その余の一名は同月二〇日に、それぞれ、本件校門の門扉・門塀を撤去、改修することは違法、不当な行為であるとして、県監査委員に対して監査請求を行ったが、平成五年九月六日ころ、同監査委員は、右請求に係る措置請求はいずれも理由がないと認定し、その旨を原告らに通知した。
三 争点
1 被告貝原、被告清水及び被告芦田が地方自治法(以下「法」という。)二四二条の二第一項四号にいう「当該職員」に該当するか。
2 本件校門改修工事に関して被告山口に財務会計上の違法行為があったか。
3 被告貝原、被告清水及び被告芦田に本件校門改修工事に関して財務会計上の違法行為があったか。
4 県に損害が発生したか。
第三 争点に対する判断
一 争点1について
1 被告らは、法二四二条の二第一項四号の「当該職員」に該当するためには、被告らに法二四二条に規定する公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担等の行為(以下「財務会計上の行為」という。)を行う権限があることを要するところ、被告貝原、被告清水及び被告芦田には右権限が認められないので、右被告ら三名は「当該職員」に該当せず本件訴訟の被告適格が認められないと主張しているので、判断する。
2 普通地方公共団体の長は、「予算を調製し、及びこれを執行する」権限を有しており(法一四九条二号)、また、教育に関する事務に関しても「教育委員会の所掌に係る事項に関する予算を執行する」権限を有している(地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下「地教行法」という。)二四条五号)。
ところで、県においては、右予算執行に属する事務のうち、「かい」で所掌する事務に係る「支出負担行為をする」事務及び「………支出命令………をする」事務は、知事からかい長に対して委任されている(法一八〇条の二及び財務規則(昭和三九年三月一日兵庫県規則第三一号。以下「財務規則」という。)四条一号ないし三号)。
そして、高塚高校は、財務規則二条二号、行政組織規則(昭和三六年四月二八日兵庫県規則第四〇号)四章、五章、昭和三九年四月一日兵庫県告示第三三二号の一一により「かい」に指定されており、また、財務規則二条四号により、高塚高校長がかい長となっている。
したがって、高塚高校で所掌する事務に係る財務会計上の行為である支出負担行為及び支出命令をする権限は県知事から高塚高校長に委任されていることになる(以上の事実は当事者間に争いはない。)。
3 被告清水及び被告芦田の被告適格
(一)(1) そもそも、教育財産は、用途廃止の手続を経て教育財産を普通財産に切り替えた上でなければ処分できないものである(法二三八条の四、同条の五)から、県立高等学校の校門を取壊して廃棄し、新しく校門を設置する改修工事を校長が実施する場合、まず、教育財産である校門のうち工作物の用途廃止の手続を経て普通財産に切り替えることが必要となる。
原告らは、教育財産の用途廃止が住民訴訟の対象となる財務会計上の行為に該当し、かつ、教育財産等の取得、管理及び処分に関する規程(昭和五八年四月一日兵庫県教育長訓令第一号。以下「本件規程」という。)二七条により右用途廃止は教育長の決裁に基づき県教育委員会事務局財務課長(以下「財務課長」という。)が行うこととされているとして、本件校門の用途廃止が行われた平成二年九月当時の教育長である被告清水は、法二四二条の二第一項四号の「当該職員」に該当すると主張しているので、判断する。
(2) 法二四二条の二の定める住民訴訟は、普通地方公共団体の執行機関又は職員による法二四二条一項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実が究極的には当該地方公共団体の構成員である住民全体の利益を害するものであるところから、これを防止するため、地方自治の本旨に基づく住民参政の一環として、住民に対しその予防又は是正を裁判所に請求する権能を与え、もって地方財務行政の適正な運営を確保することを目的としたものである(最高裁昭和五一年(行ツ)第一二〇号同五三年三月三〇日第一小法廷判決・民集三二巻一・二号四八五頁)。したがって、普通地方公共団体の住民が住民訴訟によってその予防又は是正を求めることができるのは、当該地方公共団体の執行機関又は職員による行政上の諸活動のうち財務会計行為、すなわち普通地方公共団体の公金その他の財産の財産的価値の維持、保全を直接の目的とする行為であって、その行為の結果如何によって直接に当該地方公共団体に財産的損害を与え又は与えるおそれのあるものに限られるのであって、それ以外の行為は、たとえ、それによって当該地方公共団体の財産上に何らかの影響を及ぼすものであっても、これを住民訴訟の対象とすることはできないというべきである。
そこで、本件について検討するに、教育財産の用途廃止は、教育行政上の観点から行われる管理行為であって、(地教行法二三条)、教育財産の財産的価値に着目し、その維持、保全又は実現を直接の目的とするものではないから、住民訴訟の対象となる財務会計上の行為には該当しないと解するのが相当である。
したがって、用途廃止の決裁権限を根拠にして被告清水の被告適格を認めることはできない。
(二)(1) 改修工事による取壊し、廃棄を予定して用途廃止がなされた工作物は、教育財産から普通財産となり、その工作物の取壊し、廃棄の権限を有する者が、それを決定することになる。ところで、原告らは、県教育長が右取壊し、廃棄の権限を有しており、本件契約が締結された平成五年七月当時の教育長である被告芦田は、法二四二条の二第一項四号の「当該職員」に該当すると主張しているので、判断する。
(2) 用途廃止によって教育財産から普通財産に切り替えられた工作物の処分は、普通財産の取壊し、廃棄であって、その事務は、地方公共団体の長が行うものである(地教行法二四条三号)が、県では、「かい」の所属に関するものについては、公有財産規則(昭和五八年二月一八日兵庫県規則第一一号)一〇条二項四号によって、知事からかい長に委任されている。したがって、当該工作物の取壊し、廃棄は、公有財産管理者としてのかい長(公有財産規則二条七号、一〇条二項四号)が文書によりこれを決定しなければならない(同規則七一条)。すなわち、本件工作物の取壊し、廃棄については、本件校門模様替え工事当時のかい長である訴外衣川にその事務が委任されていたのである。
これに対して、原告らは、本件工作物の取壊し、廃棄は、本件規程三四条一、二項により財務課長が文書により教育長の決裁を受けなければならないものであって、本件では、教育長の決裁が存在しないと主張している。しかし、本件規程は、「本件管理規則四条一項及び一三条の規定により、教育長に委任された教育財産の管理に関する事務並びに公有財産規則の規定により教育長に委任され、又は教育長が補助執行することとされた公有財産の取得、管理及び処分に関する事務の取扱に関して必要な事項を定めるもの」(本件規程一条)であり、かい長に委任された公有財産である普通財産の処分(取壊し、廃棄)は本件規程の規定対象外の事務となる。
したがって、原告らの右主張を採用することはできない。
(三) さらに、原告らは、県知事から高塚高校長に委任されている支出負担行為の権限は部局長による予算の令達を受けた範囲内で行わなければならないものである(財務規則四条二号、一六条)ところ、教育委員会において局長は教育長とされている(同規則二条三号)ことから、教育長には予算令達権限があり、この予算令達が住民訴訟の対象となる財務会計上の行為に該当するとして、本件契約が締結された当時の教育長である被告芦田は法二四二条の二第一項四号の「当該職員」に該当する、と主張している。
しかし、予算令達とは、地方公共団体において、予算を実際に使用する各部課に予算の配当を通知する行為のことをいい、行政内部の事務処理的行為に過ぎず、法二四二条の規定する財務会計上の行為には該当しないと解するのが相当である。
したがって、予算令達権限を根拠にして被告芦田の被告適格を認めることはできない。
(四) 教育長は、教育委員会に置かれ、その指揮監督のもとに教育委員会の処理する事務をつかさどる機関であり、教育委員会の判断に専門家としての意見を反映させるため、単に事務局の長として委員会の事務を統括し、所属の職員を指揮監督するにとどまらず(地教行法二〇条一項)、専門的助言者としての職務を行うものである。
しかし、右一2で述べたとおり、高塚高校で所掌する事務に係る支出負担行為及び支出命令をする権限が県知事から高塚高校長に委任されているのであって、県教育長は、本件訴訟においてその適否が問題とされている高塚高校における財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有するとされている者に該当しないから、法二四二条の二第一項四号の「当該職員」に該当しないと解するのが相当である。
(五) したがって、本件訴訟において県教育長であった被告清水及び被告芦田に被告適格を認めることができない。
4 被告貝原の被告適格
(一) 法二四二条の二第一項四号にいう「当該職員」とは、当該訴訟においてその適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有するとされている者及びこれらの者から権限の委任を受けるなどして右権限を有するに至った者を広く意味するものである。
普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体を代表する者であり(法一四七条)、当該普通地方公共団体の条例、予算その他の議会の議決に基づく事務その他公共団体の事務を自らの判断と責任において誠実に管理し及び執行する義務を負い(法一三八条の二)、予算の執行、地方税の賦課徴収、分担金、使用料、加入金又は手数料の徴収、財産の取得、管理及び処分等の広範な財務会計上の行為を行う権限を有するものであって(法一四九条)、その職責及び権限にかんがみると、長は、その権限に属する一定の範囲の財務会計上の行為をあらかじめ特定の職員に委任することとしている場合であっても、右財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有するものとされている以上、右財務会計上の行為の適否が問題とされている当該代位請求住民訴訟において、法二四二条の二第一項四号にいう「当該職員」に該当するものと解すべきである。
(二) そして、右委任を受けた職員が委任に係る当該財務会計上の行為を処理した場合においては、長は、右職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し、故意又は過失により右職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止しなかったときに限り、自らも財務会計上の違法行為を行ったものとして、普通地方公共団体に対し、右違法行為により当該普通地方公共団体が被った損害につき賠償責任を負うものと解するのが相当である。
(三) してみると、高塚高校で所掌する事務に係る支出負担行為及び支出命令をする権限が県知事の被告貝原から高塚高校長の被告山口に委任されていたとしても、被告貝原は、右権限を法令上本来的に有するとされている者であるから、法二四二条の二第一項四号にいう「当該職員」に該当し、本件訴訟における被告適格を有すると解するのが相当である。
5 以上のとおりであって、本件訴訟において、被告貝原には、被告適格が認められるけれども、被告清水及び被告芦田は、いずれも被告適格を有しないものというべきである。
二 争点2について
1 原告らは、本件校門改修工事に関して、その実質面及び手続面において被告山口に財務会計上の違法行為が存在すると主張しているので、判断する。
2 実質面について
(一) 被告らは、本件校門の門扉に構造的な欠陥はなく、使用に耐えうるものであったとの前提に立ちつつ、そもそも、学校財産の取得、処分、維持、保存等に係る権限は校務をつかさどる校長にあり(学校教育法五一条、二八条三項)、本件校門改修工事の決定も高塚高校長の裁量権の範囲に属するものであるが、今回は、異例の事故によるものなので、被告山口は、教職員、生徒等の理解と協力を得るためしかるべき「経緯」を経て、かつ、校長としての「教育的配慮」に基づき、本件校門改修工事を行うべきと判断したものであり、被告山口が判断した内容や判断に至る手続には、何人の目から見ても明らかな過誤や不合理が認められないことは明白であるばかりでなく、右判断は適法で合理性があり、社会通念上も妥当なものであると主張している。
これに対して、原告らは、本件校門改修工事の決定権限は県教育委員会にあり、仮に校長に右工事の決定権限があるとしても、本件において、被告山口に「教育的配慮」が存在したとは認められないし、また、本件校門改修工事当時、本件校門自体は老朽化しておらず、安全性、機能性の面において、同校門を改修すべき客観的必要性は全くなかったことからすると、主観的な「教育的配慮」のみを理由として改修を行う場合には、少なくとも、被害者の遺族、生徒、職員、保護者等の学校関係者の理解と協力を得るという「経緯」を踏むことを要するが、本件においては、「教育的配慮」に相応しい学校関係者との協議や合意が欠けており、被告山口の本件契約の締結(支出負担行為)、とりわけ右工事を行うべきとの判断は、裁量権の逸脱、濫用として違法といわざるを得ないと主張している。
(二) 証拠(検甲二の一、三の一ないし三、三の五ないし八、三の一〇、乙五ないし八、一八ないし二〇、二一の一、二五の一ないし三、二六の一、二、三一、弁論の全趣旨)によれば、次の事実が認められる。
(1) 訴外衣川は、平成二年七月二六日、高塚高校長に転補すべき旨の内示を受けた。訴外衣川は、右内示を受けた当時から本件校門を改修しようという気持ちが強く、また、同年八月一日に高塚高校長に着任した後も、本件校門をある程度改修したいと考えていた。そして、訴外衣川は、同年九月六日、当時の県教育委員会事務局学事課長であった大江剛(以下「学事課長」という。)と本件校門の門扉について協議したが、その際、できれば改修に持っていきたい旨を同課長に伝えた。
(2) 同月八日、高塚高校で全体保護者会が開催されたが、その際、訴外衣川は、本件校門改修の意向を明らかにしなかった。
(3) 同月一〇日、高塚高校の校長、教頭、事務長、校務分掌上の各部の部長、主任など約一四名から成る校務運営委員会が開催され、本件校門改修について話し合われたが、その場では改修に反対という意見は出なかった。
(4) 同月一二日、高塚高校の職員会議において、訴外衣川は、本件校門改修についても同校生徒に働きかけていきたい旨を表明した。そして、訴外衣川は、同月一三日、高塚高校の生徒会執行部と一年七組代表の生徒らに対して、初めて校門改修の話をしたが、その際、生徒会執行部から何らの答えはなかったけれども、彼らが真剣に聞いていたことをも併せ考えて、生徒会執行部は了解したと認識した。一年七組代表の生徒らは、翌日まで回答を持ち越し、翌日、異議がないとの返答をした。
(5) 同月一四日、高塚高校において、校長、教頭、生徒指導緊急検討委員会の構成員ら学校側関係者約二〇名、育友会本部役員及び理事ら同校生徒の保護者側関係者並びに生徒会執行部及び生徒学年代表ら生徒側関係者らの三者で構成された三者会議が開催され、右席上で、訴外衣川は、本件校門改修の意向とその理由等を説明した。
(6) 訴外衣川は、同月一七日、高塚高校の職員会議において、本件校門改修工事について説明したが、反対意見は出されなかった。
同日、訴外衣川は、前述の経過から生徒や生徒会、保護者あるいは育友会及び教職員のおおかたの賛意を得たものと確信し、また、報道機関を通じて本件校門事故で死亡した女子生徒の遺族(以下「訴外遺族」という。)が本件校門を見たくない旨の発言をしていると聞いたことをも併せ考え、高塚高校長として、本件校門を本件事故当時のまま存置することは適切でないのみならず、本件事故に対する厳しい反省の決意を受け継ぐためにも本件校門を改修してその周囲に花壇を設置し、また、生徒の明るく充実した高校生活のための環境をも整備しようとの教育的配慮から本件校門改修の決意を固めた。
(7) 訴外衣川は、同月一八日、学事課長に対し、口頭で本件校門改修工事の実施を正式に要請し、また、同月二〇日、本件校門前に設置されていた祭壇を撤去するとともに、右校門を改修する旨を訴外遺族の代理人を通じて文書で訴外遺族に通知した。
(8) 同月二一日、訴外衣川に対して生徒会執行部が全校生徒の意見を聞いていない旨を申し入れたので、訴外衣川は、全校生徒には同月二八日に自ら話をすると回答した。
(9) 同月二六日、高塚高校の職員会議において、本件校門改修について反対である旨の意見も出された。
(10) 訴外衣川は、同月二八日、高塚高校の全校集会において、本件校門が改修されることになった旨を話した。
(11) 訴外衣川は、高塚高校長として、同月二九日、訴外工務店との間で、本件当初契約を締結し、訴外工務店は、翌三〇日、右契約に従って工事に着工した。ところが、訴外衣川は、本件校門事故に関連した刑事事件の公判の推移を見守るため及び本件校門模様替え工事に関連した県の住民からの監査請求に対する監査結果を勘案して、本件校門を当分の間、本件事故当時の現状のままで保存することとして右契約の内容を変更した。その結果、訴外工務店は、高塚高校の門扉及び門塀部分を除いた部分の工事を施工したに止まり、同校の門扉及び門塀部分はトタンで覆われた状態でそのまま存置された。
なお、訴外衣川は、右刑事事件の推移によって現場保存の必要がなくなった場合には、校長として、本件校門を改修したいと考えていた。
(12) 平成五年二月、本件校門事故に関連した刑事事件の判決が確定した。
(13) 被告山口は、平成五年四月一日、訴外衣川の後任として高塚高校長に着任した。
(14) 被告山口は、着任以来、明るくこころ豊かな学校づくりを目指すことを教育方針に掲げて学校運営を行っていたが、高塚高校長として、生徒に本件事故のあった現場を踏みしめて登下校させることは望ましくないこと(生徒への気配り)、本件事故のあった場所を花壇にすることにより二度とあのような事故を発生させないという決意を受け継いでいくこと(事故に対する厳しい反省)及び生徒たちが明るく充実した学校生活を送れる環境をつくること(環境整備)の三つの教育的配慮から中断していた校門改修工事を再開する必要性があると考えた。
(15) 平成五年六月一日、高塚高校育友会会長増田英雄及び理事会役員一同から被告山口に対して本件校門の模様替えについて要望書(乙第一八号証)が提出された。右書面は、同年五月一五日、同校育友会の平成五年度総会において、育友会会長が「校門模様替え工事の早期再開着工を学校に要望する」との意思表明をしたところ、出席会員大方の賛同を得たこと及び同月二二日に改めて育友会理事会の議題として検討した結果を踏まえて高塚高校長である被告山口に対して概ね次のとおり要望するものであった。
① 県教育委員会に対し校門模様替え工事を可及的速やかに着工するよう要望して下さい。
校門が工事用遮蔽物によって閉じられてから既に二年七か月が過ぎようとしています。この間、生徒の大半は狭隘な仮通用門を使用しての登校を続けています。………不便で不自然な現状の早期解決を保護者として切に願っています。
② 校門の門扉・門塀を撤去し、花壇を中心とした明るい校門にして下さい。
③ 工事期間中の安全確保にご留意ください。
そして、被告山口は、右書面が提出されたことにより、保護者が工事の早期再開着工を強く要望しているものと理解した。
(16) 被告山口は、同年七月七日、高塚高校の職員会議において、工事の再開着工について職員に説明したところ、大方の職員の理解を得たものと理解した。
(17) 被告山口は、右同日、工事の再開について保護者からの強い要望があること及び高塚高校の大方の職員の理解を得られたことを併せ考え、右(14)の教育的配慮により工事を再開する必要性があると認めたことから、本件校門改修の決意を固め、県教育長に対し、「本校通用門の模様替えについて」と題する文書(乙第一九号証)を提出し、本件校門改修工事を早期に再開することとしたので必要な予算措置等を講ずるよう依頼した。
(18) 被告山口は、同月二〇日、高塚高校の生徒の保護者に対し、生徒を通じて「通用門改修工事再開について(お知らせ)」と題する文書(乙第二〇号証)を配付した。また、被告山口は、右同日、同校の一学期の終業式において、全校生徒に対し、工事について説明し、理解と協力を求めた。
(19) 被告山口は、同月二二日、訴外上田建設との間で本件契約を締結し、翌二三日、訴外上田建設は、右契約に従って本件校門改修工事に着工した。
(20) 同年九月五日、本件校門改修工事は完了し、同月九日、新校門の供用が開始された。
(三) 高等学校の校長は、校務をつかさどる者であり(学校教育法五一条、二八条三項)、校務とは、学校経営上、必要な一切の仕事を指し、それを分類すれば、学校教育の運営に関する事務、学校教育の内容に関する事務、教職員の人事管理に関する事務、児童、生徒の管理に関する事務、児童、生徒職員の保健安全に関する事務、施設、設備、教具の保全管理に関する事務が含まれ、本件校門の改修の決定も校務に含まれると解される。
これに対して、原告らは、教育財産の取得を伴う本件校門改修工事の実質的決定権は地教行法二八条二項により教育委員会にあり、教育財産を取得するか否かの裁量権の有無は、基本的に校長ではなく、教育委員会について問題とされなければならないと主張している。
本来、教育財産の取得の事務は、地方公共団体の長が行うものであり(地教行法二四条三号)、同法二八条二項の「地方公共団体の長は、教育委員会の申出をまって、教育財産の取得を行うものとする。」との規定は、学校建築に関する地方公共団体の長と教育委員会の関係について、学校建築の内容をなす請負契約の締結、財産の取得、支出の命令は地方公共団体の長の権限であるが、その前段階で行われる建築の計画(敷地の選定、配置図、略設計書の作成等)は教育委員会が行うものであることを前提としているものと解するのが相当である。
ところで、県では、教育財産の取得の事務のうち「かい」の所属に関するものについては、公有財産規則一〇条二項一号、一六条によって、その事務は知事からかい長に委任されているから、教育財産については、公有財産管理者としてのかい長(同規則二条七号、一〇条二項一号)が学校建築の内容をなす請負契約の締結、財産の取得、支出の命令の権限を有し、その前段階で行われる建築の計画(敷地の選定、配置図、略設計書の作成等)を教育委員会が行うことになる。したがって、本件においても教育財産の取得を伴う本件校門改修工事の実質的決定権は、かい長である高塚高校長にあったものと解するのが相当であり、原告の右主張を採用することはできない。
(四) そうすると、本件校門の改修は、教育についての専門家で高塚高校長である被告山口の合理的な裁量判断に委ねられているものというべく、その判断の内容や手続に何人の目から見ても明らかな過誤や不合理があると認められる場合でない限り、その判断が法的に違法であるとされることはないものといわなければならない。
これに対して、原告らは、右のような基準では、実際上、裁量権の濫用、逸脱と判断される場合はないに等しいのであって、校長の判断が全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合、裁量権の行使が違法となると解すべきであると主張する。
しかし、原告らの主張する判断基準と当裁判所の判断基準は、その実質的な内容において何ら異なるものではなく、同一線上にあるものと解されるから、原告らの右主張は採用することができない。
(五) 証拠(甲一一、四九、一〇三)によれば、訴外衣川が本件校門模様替え工事を決定した当時、高塚高校の生徒会や生徒、保護者、教職員等の関係者の中には本件校門を存置すべきとの意見を持つ者が存在したことも窺われる。しかし、本件全証拠によっても、訴外衣川の後任として高塚高校長に着任した被告山口が本件校門改修工事を決定した当時、同校の関係者の中で同工事に反対する意見を持つ者が訴外衣川の本件校門模様替え工事決定当時よりも増加したことを認めることはできず、また、右で認定した事実関係からすれば、被告山口の本件校門改修工事の判断の内容及び右判断をするに至る過程に、何人の目から見ても明らかな過誤や不合理があるものと認めることは困難であり、したがって、被告山口の右判断が法的に違法であると解することは相当でない。
3 工作物の用途廃止、処分及び取得の手続面について
(一) 原告らは、本件校門改修工事について本件公金を支出する前提として、右工事がなされた区域に右工事以前に存在した教育財産である工作物の用途廃止、処分及び取得の各手続が必要であるところ、本件においては、右各手続のいずれにも違法があり、被告山口の契約の締結(支出負担行為)も違法であると主張しているので、判断する。
(二) 用途廃止について
(1) そもそも、県立高等学校の校門を取壊して廃棄し、新しく校門を設置する改修工事を校長が実施する場合、まず、教育財産である校門のうち工作物の用途廃止の手続を経て普通財産に切り替えることが必要となることは、右一4(一)(1)で述べたとおりである。
本件では、誰が右用途廃止の権限を有するかにつき争いがあり、原告らは、財務課長が文書により県教育長の決裁を受けなければならないと主張し、被告らは、財務課長の専決事項であると主張しているので、判断する。
(2) 用途廃止は、教育財産の管理に係る事務であるところ、県において、右事務は県教育委員会(地教行法二三条二号)から県教育長に委任されている(地教行法二六条一項、教育財産管理規則(昭和四六年三月三一日兵庫県教育委員会規則第一号。以下「本件管理規則」という。)四条一項)。本件校門は、「かい」である高塚高校で使用されていることから、高塚高校の所属となり(本件規程三条)、その用途廃止の具体的手続は、校務の一つとして学校長の訴外衣川が校門改修の実施を決定した後、かい長である訴外衣川が財務課長に用途廃止の申出を行い(本件規程四四条一項)、教育財産等の相互調整の事務を担当する財務課長は、用途廃止をしようとするときは文書により県教育長の決裁を受けなければならない(同規程二七条)が、県教育長の右決裁は兵庫県教育委員会事務局本庁決裁規程(昭和四三年二月一日教育長訓令甲第二号。以下「本件決裁規程」という。)六条により課長専決事項となっていることから、結局、財務課長の専決により用途廃止を決定することになる。そして、財務課長は、用途廃止を決定したときは、かい長にその旨を通知しなければならない(本件決裁規程四四条二項)。
なお、原告らは、仮に用途廃止が本件決裁規程六条により財務課長の専決事項であるとしても、本件は、世間を騒がせた重大な事件に関わるものであって、例外的に同規程四条によって上司の決裁が必要とされる場合に該当する、と主張している。しかし、本件用途廃止は、本件全証拠によっても同規程四条のいずれかの号に該当する場合と認めることができないことから、原告らの右主張を採用することはできない。
(3) 証拠(乙二、一四、二五の一ないし三、二七の一、二)によれば、平成二年九月二〇日、訴外衣川が当時の財務課長樽井清に教育財産用途廃止申出書を提出したこと、同課長が、同日、右申出を受けてその内容を審査し、用途廃止を適当と判断して用途廃止を決定し、右決定を即日被告衣川に通知したことが認められる。
これに対して、原告らは、乙第一三、第一四号証は平成二年九月二〇日に作成されたものではなく、後日作成されたものであると主張するが、本件全証拠によるも、右事実を認定することはできない。
(4) したがって、用途廃止手続は適正に行われたと解するのが相当である。
(三) 処分(取壊し、廃棄)について
(1) 改修工事による取壊し、廃棄を予定して用途廃止がなされた工作物は、教育財産から普通財産となり、その工作物の取壊し、廃棄の権限を有する者がそれを決定することになり、その権限はかい長にあることは、右一4(二)で述べたとおりである。
(2) 証拠(乙三、一四、二五の一ないし三、弁論の全趣旨)によれば、訴外衣川が、用途廃止の通知後から校門模様替え当初契約締結時までの間に、本件工作物について取壊し、廃棄の実質的な決定をしたことが認められる。
なお、文書による右取壊し、廃棄の決定が平成五年七月二九日付であることから、右決定は公有財産規則七一条に抵触して違法であると原告らは主張するが、同規則は、行政事務の分配等、すなわち国民の権利義務に関係しないことを定めるいわゆる行政規則であると解するのが相当であることから、かい長である訴外衣川によって実質的な取壊し、廃棄の決定がなされていれば、右決定の効力そのものに影響はないと解される。
(3) したがって、取壊し、廃棄手続は適正に行われたと解するのが相当である。
(四) 取得について
(1) 本件校門改修工事によって新たに設置される教育財産としての工作物については、その取得の権限を有する者が取得決定を行う。そして、右権限者がかい長であることは、右2(三)で述べたとおりであり、したがって、本件校門改修工事によって新たに設置される工作物の取得については、かい長が文書によりこれを決定しなければならない(公有財産規則一六条)ことになる。
(2) 証拠(乙四、一四、二五の一ないし三、弁論の全趣旨)によれば、訴外衣川が、用途廃止の通知後から本件当初契約締結時までの間に、校門模様替え当初契約に基づく工事によって新たに設置される教育財産としての工作物について取得の実質的な決定をしたことが認められる。
なお、文書による右取得の決定が平成五年九月一三日付であることから、公有財産規則一六条に抵触して右決定は違法であると原告らは主張するが、右(三)(2)で述べたように、同規則は、行政事務の分配等、すなわち国民の権利義務に関係しないことを定めるいわゆる行政規則であると解されるから、かい長である訴外衣川によって実質的な取得の決定がなされていれば、右決定の効力そのものに影響はないと解するのが相当である。
また、原告らは、訴外衣川の右取得の決定に当たっては、地教行法二八条二項で要求されている教育委員会の申出が欠けているので、右取得手続は同条項に反する違法なものであると主張している。しかし、訴外衣川が、用途廃止決定以前に、学事課長と教育長に対し本件校門模様替え工事に関連して根回しをしていた事実は右2(二)で認定したとおりであって、訴外衣川の右取得決定に先立って、右条項で要求されている教育委員会の申出が存在したことが合理的に推認される。
(3) したがって、取得手続は適正に行われたと解するのが相当である。
(五) 右(二)ないし(四)で認定したように、本件校門改修工事で必要とされる用途廃止、処分及び取得の各手続は適正に行われており、したがって、原告らの右主張を採用することはできない。
4 予算令達の手続面について
(一) 右一2で述べたように、高塚高校で所掌する事務に係る支出負担行為及び支出命令を行う権限は県知事から高塚高校長に委任されている。
ところで、原告らは、かい長は「財務規則一六条の規定による令達を受けた予算の範囲内で支出負担行為をすること」を要し(財務規則四条二号)、右予算令達権限は、県教育長にあるが、本件では、県教育長の決裁がない以上、その手続に違法があり、本件公金支出も違法であると主張しているので、判断する。
(二) 財務規則は「部局長は、………その所管するかいに、当該かいの予算を令達しなければならない。」と規定しており(同規則一六条一項)、右部局長とは、本件では県教育長(同規則二条三号)であるが、県教育長の右事務は、本件決裁規程六条により、予算令達事務を所掌する財務課(兵庫県教育委員会行政組織規則(昭和五八年四月一日教育委員会規則第九号)一〇条一号)の課長の専決事項となっていることから、結局、財務課長の専決により予算令達をすることになる。
なお、原告らは、仮に予算令達が本件決裁規程六条により財務課長の専決事項であるとしても、本件は重要事案であり、例外的に同規程四条によって上司の決裁が必要とされる場合に該当する、と主張している。しかし、本件予算令達は、本件全証拠によっても同規程四条のいずれかの号に該当すると認めることはできないから、原告らの右主張を採用することはできない。
(三) 証拠(乙五)によれば、財務課長岡田奈良夫が、平成五年七月一二日、通用門改修工事請負費として予算令達の決裁をしたことが認められる。
(四) よって、予算令達手続の違法を理由とする原告らの主張を採用することはできない。
5 したがって、本件校門改修工事に関して、被告山口に原告らの主張するような財務会計上の違法行為を認めることはできない。
第四 結論
以上のとおりであって、原告らの被告清水及び被告芦田に対する訴えをいずれも不適法として却下し、原告らのその余の被告らに対する本訴各請求はその余の点について判断するまでもなく理由がないからいずれもこれを棄却し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官辻忠雄 裁判官下村眞美 裁判官溝口稚佳子)